見知らぬ番号からの電話──それ、本当に大丈夫?
最近、スマートフォンに登録していない番号からの着信が増えていると感じる方が多いようです。
中でも「+」が付いた国際電話番号が表示されると、身に覚えがないだけに、不安や警戒心が高まるのではないでしょうか。
ある日「+422」から始まる見慣れない番号から電話がかかってきました。
気になって調べてみると、SNSやネット掲示板でも同じような体験を報告する声が数多く見つかります。
こうした事例が急増している背景には、何があるのでしょうか。
本記事では、「+422」からの着信に潜む危険性や、被害を防ぐための適切な対処法について分かりやすく解説します。
「+422」ってどこの国?――実は存在しない番号だった!
国際電話では、一般的に「+国番号」の形式で発信元の国を示しています。
たとえば、日本なら「+81」、アメリカは「+1」など、各国ごとに固有の番号が決まっています。
ところが「+422」という番号は、国際電気通信連合(ITU)が定める正式な国番号リストには登録されていない、“存在しない国番号”なのです。
つまりこの番号を使って発信された電話は、何らかの手段で番号を偽装している、いわゆる「スプーフィング」の可能性が高いと考えられます。
正規の回線を経由していない時点で、信頼性はゼロ。詐欺や迷惑行為を目的とした発信と見て間違いないでしょう。
存在しない番号からなぜ電話が?詐欺の手口を解説
では、なぜこのような偽装された番号で電話をかけてくるのでしょうか。その背景には、非常に巧妙かつ悪質な詐欺の仕組みがあります。
特に多く報告されているのが、中国語による自動音声での通話です。
内容としては、「あなたの個人情報が漏えいしている」「違法行為に関与している可能性がある」など、不安をあおるものが中心です。
発信者は中国の公安や大使館の職員を名乗り、金銭を要求したり、個人情報の提供を迫るなど、巧妙な手口を用いてきます。
これらは在日中国人をターゲットにしていると考えられていますが、発信先は無作為であるため、日本人が受けるケースも少なくありません。
中には、「あなたの名前で間違いありませんか?」などと質問し、会話の中から個人情報を聞き出そうとする例もあります。
実際、警察庁の統計によると、特殊詐欺に使われた電話のうち、約60%以上が国際電話番号を使っていたとのこと。非常に深刻な問題と言えるでしょう。
「+422」からの着信に出てしまったら?正しい対応方法
うっかり「+422」などの不審な電話に出てしまったとしても、落ち着いて行動することが大切です。
まずは、すぐに通話を終了しましょう。相手の話を最後まで聞いたり、指示に従ったりするのは非常に危険です。
被害を防ぐための基本的なポイントは次の通りです:
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相手の話を遮って速やかに通話を切る
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氏名、住所、金融情報などの個人情報は一切伝えない
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不審な指示に従わない
万が一、クレジットカード情報や口座番号などを伝えてしまった場合は、すぐにカード会社や銀行に連絡し、利用停止や口座凍結の手続きを依頼してください。
その後、警察にも速やかに相談することをおすすめします。
なお、国際電話は発信者側が通話料を負担する仕組みのため、こちらが出ただけでは基本的に通話料金は発生しません。
しかし、絶対にやってはいけないのが折り返しの電話です。
「ワン切り詐欺」と呼ばれる手口では、不在着信を残して折り返させ、高額な通話料を請求する仕組みになっています。
さらに、こちらがかけ直すことで「この番号は使われている」と認識され、さらなる迷惑電話が届く原因にもなりかねません。
不審な国際電話から身を守るには
こうした被害を未然に防ぐために、日常的に行える対策を以下にご紹介します。
● 知らない国番号には出ない・折り返さない
基本中の基本ですが、これだけでも多くの被害を防げます。「+422」など見覚えのない番号はすぐに着信拒否設定しましょう。
● スマホの機能を活用する
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iPhone:設定で「不明な発信者を消音」にする
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Android:非通知・通知不可番号のブロック機能を利用する
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携帯キャリア各社が提供する「迷惑電話ブロック」サービスも有効です
● 番号を検索して確認する
見知らぬ番号からの着信があった際には、すぐにインターネットで番号を検索してみましょう。
すでに被害報告されていれば、迷惑電話情報サイトなどに記録されていることが多く、危険性を判断できます。
まとめ:不安を感じたら、一人で抱えず相談を
もし、不審な電話に出てしまったり、何らかの情報を伝えてしまったことで不安を感じた場合は、一人で悩まずすぐに警察や消費生活センターなどの専門窓口に相談しましょう。
詐欺対応の経験が豊富な担当者が、状況に応じたアドバイスをしてくれます。
また、家族や高齢の親御さん、友人・同僚にもこのような情報を共有し、周囲全体で被害防止の意識を高めることも大切です。
スマホが生活に欠かせない存在となった今、同時に詐欺のリスクも身近な問題になっています。
正しい知識と冷静な判断力を持ち、安心・安全なデジタルライフを送りましょう。